【感想】魔龍王ラプラスの起源【古龍の昔話】

『古龍の昔話』

六面世界の最初のターニングポイントにして、魔龍王ラプラス誕生の物語。

無職転生の数万年前の物語から、様々な物の起源の物語につながる。

無職転生を最後まで読んだことがある人なら、絶対に読んで損はしないだろうと思う

以下はネタバレを含んだ感想。


無職転生の登場人物の「始まり」がわかる

この作品は無職転生の様々の「始まり」がわかる。ラプラス然り、魔界大帝然り。

中でも目を引くのが「ヒトガミ」だろう。

この物語を通じて、ヒトガミや五龍将など、この作者の登場人物の設定への作り込みの強さを再認識した。

ヒトガミの最初の登場「やぁ」には思わずニヤリとした読者も多いだろう。

作者曰く、ヒトガミは人間の「狡猾さ」を最も体現したキャラらしい。

ヒトガミが何故六面世界の神々を殺したのかは、六面世界の面々含め、誰にもわからないだろう。しかし、ラプラスも零していたヒトガミの最後の言葉「僕が唯一無二の神だ!」がやはり答えであり、ただそれだけが理由なのかもしれない。

人が強大な力を手に入れたとき、その人間らしい貪欲さを体現したものがヒトガミなのかもしれない。

この作者は物語の構成がとても秀でていると思っていたが、読んでいて表現力も秀逸だとも思った。中でも好きだったシーンが以下の2つ。

五龍将の一人である聖龍帝シラードの最後の壮絶なものだったが、彼にはもうこうするしかなかったという五龍将の悲壮な矜持の表現。

そしてラプラスの「ご武運を」という言葉に対し、龍神様の「もはや運も命も尽きた」という返し。この皮肉ともとれる龍神に言葉に、ラプラスは何を思ったのだろうか。

正直物語の導入が微妙だったため読むのをためらったが、本当に最後まで読んでよかった。


総評

この作品では無職転生の謎こそ何も解明できるものではなかったが、物語の本当の始まりを読むことができる。

神刀の真名が「龍神刀」であることや(オルステッドはなぜこの刀をただ「神刀」と呼んでいるのだろうか?)、魔界大帝の出生の秘密、ぺルギウスの空中城の名前の由来など。

読んでいて面白かったし、いつか書かれるかもしれない「人神 討伐編」の布石にもなるだろう。

作者の感想返しで、オルステッドがあらゆる人間から畏怖される原因が、龍神が六面世界を破壊し周った際、その諸行を目の当たりし生き延びた先祖に植え付けられた本能的な恐怖が原因だという言及があった。

そのことから、無職転生の最後に闘神が龍神にかけた言葉「若き龍神よ。願わくば、貴様の呪いが解けんことを」は、あらゆる生き物から畏怖される呪いのことかと思っていたが、いま思い返すと、ヒトガミを倒すまで何度もループをしてしまう秘術(呪い)のことなのだろうと今さらながらに気づいた。オルステッドにとって、ヒトガミを倒すまで何度も同じ時間を繰り返すのは、呪い以外の何物でもないだろう。

無職を転生でこの作品を読んだことのない人は、量もそれほどないので、ぜひ読んでほしいと思う。

古龍の昔話

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